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〇〇ママの好きなこと・大切なこと

2023.02.28
〇〇ママの好きなこと・大切なこと

想定外は想定内!どんなことも楽しもう

性教育アドバイザー 青木奏絵さん
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子どもからの「赤ちゃんはどうやって生まれるの?」という質問に答えられないママは多いのではないでしょうか。性の話題をタブー視せず、家庭内での性教育を広めていこうと活動しているのが、今回ご登場いただいた青木奏絵(かなえ)さんです。元保育士という経験を持ち、現在も3児を子育てをしながら活動する青木さんに、詳しいお話を伺いました。

Contents

  1. 性教育で、異性にやさしい社会をつくる。

  2. 命の大切さを、性教育で伝えたい。
  3. 「正しい子育て」よりも「楽しい子育て」を。

性教育で、異性にやさしい社会をつくる。

「性教育」という文字を見て、少しドキッとしてしまいました。どんな活動をされているのでしょうか。

多くの方が同じ反応です(笑)。性教育と言っても、私がお伝えしているのは妊娠や生理の仕組みではなく、性を「命のこと」としてとらえ、親が子へと伝えることで生まれる関係性の構築に重きを置いています。

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自分の子どもに叱る時、必ず「あなたが大切だから」と伝えるようにしていると青木さん。「性教育を伝えるのも、子どもが大切だからというメッセージを伝えたら、必ず耳を傾けてくれるはずです」

ご自身について教えてください

保育士として12年勤めた後、縁あって保育士専門学校の講師を4年勤めていました。4年前から性教育アドバイザーとして活動しています。私生活では中学2年生の長男、中学1年生の長女、小学5年生次男の3人兄弟を育てています。

性教育を学びはじめたきっかけは?

保育士として勤めていた頃、保護者から「子どもに『赤ちゃんってどこから来たの?』と聞かれた際、どう答えていいのか分からない」と相談を受けていました。私自身、自分の子どもに答えることができていない所にモヤモヤを抱えていました。ところが欧米ではタブー視せず、家庭や学校できちんと教えていると知って驚き、同時にどうして日本では教えないのだろうと疑問を抱いたんです。

性教育は、どんなことに繋がるのでしょうか

異性のことを理解し、性にまつわる誤解を解くこと。端的に言えば、女性にやさしい社会をつくることができます。例えば生理について男性や社会全体での理解が深まれば、当たり前のように「生理休暇」がとれますよね。

命の大切さを、性教育で伝えたい。

昨今、公共の場での「生理」のタブー視される扱いについて、撤廃していこうという流れが生まれていますね。欧米では生理用品のCMに「青い水」を使うのをやめたという国があるとも聞きます。

私にご相談を頂いたある方のお子さんは、初潮を迎えた時に「赤い血が出た」とパニックになったそうです。どうやらその子は、生理用品のCMで見る「青い水」が出ると勘違いしていたのだとか。これも、性のタブーが生んだ誤解の一つと言えますね。その誤解が、時に被害をもたらすこともあるんです。

例えば?

乳房の大きさは左右で微妙に異なることは、大人の女性であれば知っている方はいるかもしれません。しかし思春期の女の子は知らない場合がほとんどですよね。今の子ならどうすると思いますか?

ネットで調べたり、SNSで聞いたりするのでしょうか。

そうです。SNSで見ず知らずの、性別も定かではない「女の子の相談窓口」をうたうアカウントに連絡し、言われるがままに裸の画像を送ってしまったというケースが実際にありました。

昨今問題となっているSNSでの性被害につながってしまうと。

思春期の女の子は、自分の身体が性的に見られるという自覚がまだ芽生えていません。でも小さな頃から家庭で性の話をしていたら自覚が生まれ、何かあった時に相談をしてくれるでしょう。性教育は「自分の身体を守ること」にもつながるんです。

なるほど。

あと、今の子たちはスマホで気軽にアダルト本やアダルト動画を見られますよね。その多くは男性目線で男性の欲望を叶えるためにできた、言わばファンタジーのようなもの。現実と混同してしまうと、トラブルや犯罪の原因ともなりえません。

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講演での青木さん。来場者の多くは子育てに悩みを抱えるママたちです(提供写真)

日本は「性教育後進国」だと言われていますよね。

国の学生指導要領により、多くの言葉がオブラートに包まれ、正しい知識をつけることができない状況となっています。例えば「性交」という言葉を使用するのは禁止され「性的接触」などと置き換えられた言い方をしなければいけません。性を命や人権としてとらえず、「恥ずかしいこと」とタブー視しているのが現状です。

欧米では小さな頃から性教育をしている国もあるのだとか。

高校に避妊具の自販機が置いてある国もあるんですよ。ちなみにユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では、性教育の開始年齢を5歳としていて、多くの国ではこの基準に沿って性教育を行っているんです。

5歳からですか!

私は講演で、もっと早く始めていいと伝えています。いざ性について伝え始めようとすると、ママが恥ずかしくて話せないといったケースがあるからです。

子どもは恥ずかしいと感じていないのでしょうか

10歳ぐらいまでは恥ずかしいという概念がないと言われています。例えば小さい子、特に男の子って「ちんちん」と連呼しますよね(笑)。あれって実は、恥ずかしくないからなんです。

「正しい子育て」よりも「楽しい子育て」を。

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最近は絵本「いきている ただそれだけで」も出版されたとか

作画を担当してくれた戸沼りささんとは、3年ほど前、私の講演会で出会いました。当時2児の子育てで悩みを抱えていた戸沼さんが絵本を作りたいと話を持ちかけてくれて、出版費用を募るクラウドファンディングを開始。幾度かの作り直しを経て2022年の12月、なんとか出版することができました。

性教育の本とは思えないような、美しい本ですね。

タイトルの通り、生きているだけで尊いというメッセージを込めています。
親が子に「何億という精子がたった一つの卵子と結びつき生まれた存在があなたなんだ」「生まれたことは奇跡だよ」と伝えることで、子どもは「自分は特別なんだ」と、自分の命を大切に思えるようになるんです。性教育は命の大切さをも伝えられる素晴らしいもの。絵本作りを通じて、そう再認識しました。

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ママが子育てで苦労しているシーンでは、綺麗な部屋から、あえて散らかった部屋に描き直したのだとか。この場面を見て涙を流したという読者もいたそうです。

絵本に合わせた楽曲も制作。歌を手掛けたmanattyさんは、この曲の制作中に妊娠を迎えたのだとか。

ご自身の子育てで大切にしていることは何ですか?

実は私、忘れっぽいし、自他共に認める"やらかす"タイプなんです(笑)。でも、そんなダメな自分を常に楽むのが子育てのコツ。失敗して当たり前。想定外は想定内といつも意識しています。
この絵本ではママに向けて「ちゃんとしなくてもいい」というメッセージも伝えています。「正しい子育て」よりも「楽しい子育て」が一番。生きていること、ただそれだけで素晴らしいのだから。

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性教育アドバイザー

青木奏絵さん

青木奏絵さんinstagram:@kanae.bt

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