ママだからって、ガマンしなくても大丈夫!
日高産みついし昆布をおしゃれなパッケージに包み、若い世代も調理に使いやすい加工をして新たな価値を届けている「ナナクラ昆布」。
代表の木村真依子さんは一児のママ。出産当初は辛い時期もあったそうです。
それを乗り越えるきっかけとなり、自分にムリなガマンを強いなくなった出来事とは。
社会に必要とされていないという孤独感。
起業のきっかけを簡単に教えてください。
祖父が新ひだか町の三石地区で昆布漁師を営んでいました。
『自分の体が動かなくなったら家業を畳む』というヒトコトがきっかけで、私が昆布の新しいニーズをつくり、別の形で後世に残したいと思ったんです。
へ~!イイ話!ちなみに起業はお子さんが生まれてから?
そうですね。2014年4月...娘が生後9カ月のころです。
周りからは0歳の年度始めじゃなければなかなか保育園に入れないと聞いていたので、アドバイスのままに預けて開業したという感じ(苦笑)。
何せ初めての子育てで、知識も情報も乏しかったですからね。
周りにママ友はいなかった?
娘を保育園に預けるまでは、他のママとまったくふれ合う機会がなかったです。
というよりも、孤独感にとらわれていましたね。
自分の時間がないことは覚悟の上でしたが、なかなか出かけることもできないので、次第に「誰からも、社会からも、必要とされていない」と気持ちが落ち込んじゃって...。
今振り返ると、ホルモンバランスが崩れていたんじゃないかと思うんですけど、当時はそれも分からなかったですしね。
大変な時に起業したんですね。
う~ ん... ただ、起業したとはいっても、娘が保育園で風邪をもらうことが増えて、『お迎えコール』が続く日々。
1 年は仕事に本腰を入れられなかったです。
ママもおしゃれして良かったんだ、と思った瞬間。
辛かった状況が変わったのは?
私、自分の勝手なママ像に縛られていたんですよね。例えば、子どもがいるのにヒールを履いちゃいけないとか、アクセサリーを付けたら危ないとか、夜に出かけちゃダメだとか。
でも、保育園ではママたちがバリバリにメイクしてきれいに着飾っていたり、ヒールを履いてさっそうと職場に向かったりしていて、すごく大きな衝撃を受けたんです。
「え~!? そうなんだ、ママもおしゃれして良かったんだ」って(笑)。
(笑)。もう少し自由になってもいいと。
そうですね。それからはおしゃれもガマンしなくなりましたし、周りが許す限り娘をどこにでも連れていくようになりました。
その保育園でママ友ができたわけですね。
はい、おかげ様で。娘を預けていた保育園はママ同士の関わりも多く、みんなで協力して子育てしようというユニークな方針なんです。
重要な仕事がある日に娘が熱を出した時は、ママ友から「ウチで見ててあげるよ」と手を差し伸べてもらったこともあります。
一方でママ友との付き合いに悩む人もいますよね。
あの、これは持論なんですけど、いくら仲が良いママ友でも、育児と家庭のことについてはあまり口を出さないほうが良いと思っています。
例えば、お菓子を食べさせることを許すお母さんもいれば、絶対にダメという人もいるように、子育ての価値観はバラバラ。
どちらも間違いじゃないので、変にアドバイスするのはトラブルの種になりそうな気がします。
お子さんの価値観がグッと近づき、一緒に出かけるのが楽しみに。
自宅ではやっぱり昆布で出汁を?
はい、もちろん。娘がお出汁の味を好きになってくれたのはうれしいです。
まあ、ファストフードも全然普通に食べますが(笑)。
こんなふうに、食事に関しても「ちゃんとしたものを食べさせなきゃ」とこだわりすぎないほうがラクになると思います。
自分を辛い状況に追い込んでまで頑張るのは、私には向いていなかったですね。
確かに。たまには外食に行ったり。
そうそう。娘にとって私は母ですが、私の人生を歩むのはあくまで私。
もっと自分のことを大切にして、ワガママに生きたって大丈夫なんです。
お子さんとはよくお出かけしますか?
今年、娘は小学1 年生になりました。以前よりも手がかからなくなったので、段違いにラクですし、「かわいい」「おいしい」の価値観が近づいてきた気がします。おいしいものを味わったり、美術館で同じ作品に感動したり、一緒に出かけることがますます楽しくなりました。
私は外食が好きなので、特にお店でご飯を食べるのが多いかな。
とはいえ、やっぱりママのご飯が一番?
そういってくれます。つい最近、一番好きな食べ物を聞いてみると、『ママのカレーが一番』だと笑ってくれました。
我が家ではスパイシーではなく、昆布のお出汁を使ったカレーが定番。
実は、最近お店でも「まろやかお出汁カレー」として提供するようになりました。
辛くないので、ぜひ、お子さんにもどうぞ...あ、宣伝しちゃった(笑)
ナナクラ昆布代表
木村 真依子さん