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〇〇ママの好きなこと・大切なこと

2024.09.20
〇〇ママの好きなこと・大切なこと

お芝居の楽しさを、子どもたちに伝えていきたい。

一般財団法人田中記念劇場財団(ジョブキタ北八劇場) 事務局長 笠島 麻衣さん
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2024年5月、札幌市北8条西1丁目の再開発複合ビル「さつきた8・1」の2階にオープンした『ジョブキタ北八劇場』。ここで「小屋付き」として働く笠島麻衣さんは、劇場を運営する一般財団法人田中記念劇場財団の事務局長を務めています。小3の女の子、小1の男の子のママであり、かつ、「小屋付き」として劇場を切り盛りする日々と仕事・社会に対する想いをうかがいました。

Contents

1. 子どものための劇場で出会った演劇が人生の転機に。
2. 出産後、子どもを連れて社会復帰を果たす。
3. 環境に甘えるだけではダメ。心構えの大切さを実感。
4. 誰もが親しみやすい劇場づくりに取り組みたい。

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子どものための劇場で出会った演劇が人生の転機に。

そもそも、「小屋付き」とは、どんなお仕事ですか?

劇場管理者と呼ばれている仕事で、劇場の管理、上演される公演のサポート、来場されるお客さまのケアなどを行います。劇場を借りたいという団体などの受付・注意事項の伝達、舞台・照明・音響など機材の管理、広報活動、劇場内・楽屋の清掃や環境整備などを行い、上演日には「いらっしゃいませ!」とお客さまをお迎えします。『ジョブキタ北八劇場』では、専門の技術スタッフがいますので、機材などの管理は、それぞれが担当しています。

一般には知る機会の少なそうな仕事ですが、どんな経緯で今に至るのでしょうか?

小学校の時、自宅のそばにできた「やまびこ座」という、子どものための劇場で演劇と出合いました。その後、中学、高校では人形劇に没頭するなか、ワークショップを通して知り合った演出家に勧められ、札幌の劇団による小劇場演劇を観たことが、人生の転機でした。

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ジョブキタ北八劇場は、2024年5月にこけら落とし公演が行われました。

そこから、演劇にのめりこみ...という流れですか?

初めて観た、その演劇団体の母体といえる演劇部がある大学に進みました。芝居を演じる側に興味があったのですが、ある時、先輩に誘われて舞台の仕込み...セットや照明などの立て込みを手伝うようになって。やがてお世話になっていた舞台関係者の方から、扇谷記念スタジオ・シアターZOOで小屋付きを探しているという話が舞い込んだんです。

公益財団法人北海道演劇財団が運営する、札幌でも有数の小劇場ですね。

そうです。ここで約8年間、小屋付きとして働き、劇場運営の経験を詰みました。それが今の仕事につながるわけですが、結婚を機にシアターZOOを離れ、10年ほどは劇場からは離れていたんです。

ご結婚の翌年に、第一子をご出産されたそうですね。

2014年に結婚し、1年後に出産しました。シアターZOOを辞めたタイミングで、創造活動を行うアーティストの支援と市民活動・交流の場としてオープンした、さっぽろ天神山アートスタジオのスタッフとして、出産まで働いていました。

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出産後、子どもを連れて社会復帰を果たす。

出産後は、また別の仕事に?

正直、その後のことはあまり深く考えていなかったのですが、運営団体が子育てにとても理解があり、子連れで働くスタッフもいる環境でした。そこで、私も育児休暇を取得し、子どもが1歳を過ぎた頃から、短時間ですが職場復帰を果たしたんです。

子どもを連れて出社できるのは理想的といえますね。

職場復帰後は、午前中だけの勤務で、施設利用の電話受付、滞在アーティストの入退館手続き、利用後のスタジオのチェックなどを行っていました。子どもを背負って山の上にある施設に通い、仕事中は事務所に座布団を敷いて子どもを寝かせたりして、仕事をしていました。おむつ替えや授乳も安心してできる環境だったので助かりましたね。

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環境に甘えるだけではダメ。心構えの大切さを実感。

とはいえ、仕事となると大変さもあったのでは?

仕事は仕事で、しっかり集中したい方なのですが、子どもにはもちろん、それは分かりません。泣き出したり、お菓子が食べたいと駄々をこねたり...。今日はここまで仕事を終わらせたいと考えていても思うようになりません。幸い、他のスタッフがようすを見てサポートしてくれたので本当にありがたかったのですが、子育てに対する理解、環境に甘えるだけでなく、自分自身がしっかりと心構えを持っていないといけない、ということを痛感しましたね。

同じように、子どもが生まれて発見したことや、考え方の変化などはありましたか?

社会に対する見方、という部分で、出産をとおして自分のなかで革命が起きた感じです。出産祝い金、乳幼児検診をはじめ社会のシステムがあってこそ、今の生活があるんだということを母親になって痛感しました。自分なりのかたちで、社会に貢献したいという気持ちが強く芽生えましたね。

誰もが親しみやすい劇場づくりに取り組みたい。

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2人目のお子さんのご出産は?

2年ほど経ってから長男を出産しました。そのタイミングで、自分が生まれ育ったエリアに引っ越したこともあって仕事を辞め、1年半ほどは家事に専念していましたが、シアターZOO(北海道演劇財団)時代の上司の紹介により、福祉関係の社団法人で、パートとして主に事務を担当しました。

2人のお子さんは、保育園に預けて働いたのですか。

いいえ、保育園には入れていないです。引越しで近くなった両親が、見てあげるよと言ってくれたので、すっかり甘えて(笑)。そこで感じたありがたみと同様に、福祉サービス関連の世界をのぞいたことで、女性、子ども、高齢者、障がい者を支える仕組みのなかで助け合いながら、それぞれの暮らしが守られていることが実感できたことは、自分にとっての収穫だったと思っています。

今は、いわば慣れ親しんだ劇場の世界に戻ったわけですが、仕事に対する意識の変化などはありますか?

子ども連れで観劇に来てくだされるお客さまに対して、「ほんとうによく来てくれました!」という気持ちになります。子どものための荷物を抱え、しかも子どもは直前になって「行かない!」と気持ちが変わったり......。それを乗り越え、お越しいただいただけで、もう感謝、感謝です!

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この日は、中高生の演劇ワークショップが行われていました。

これからの目標、夢などをお聞かせください。

いつかまた、人形劇をやってみたいですね。人形劇は、子どもたちが主なお客さんでしたが、母親になったからこそ、伝えられることがあるのでないかと思うんですね。また、どうすればもっと劇場が親しみやすい場になれるのか、「小屋付き」の視点で考えながら、道内外のすぐれた舞台を上演し、演劇のおもしろさを伝えられればいいなと。特に、子どもたちにお芝居の楽しさを知ってほしいですね。

ありがとうございました!

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一般財団法人田中記念劇場財団(ジョブキタ北八劇場) 事務局長

笠島 麻衣さん

ジョブキタ北八劇場 公式HP:https://kita8theater.com/